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東京高等裁判所 昭和39年(行コ)41号 判決

控訴人 株式会社小西光沢堂本店

被控訴人 京橋税務署長

訴訟代理人 仁科哲

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事  実 〈省略〉

理由

一、被控訴人が昭和三一年四月二五日控訴人主張の滞納法人税及び源泉徴収所得税等合計金一四六万八、五二五円を徴収するためとして、控訴人所有の別紙物件目録記載の宅地に対し、国税滞納処分として、差押をしたことは当事者間に争がない。

二、そこで次に控訴人のした右差押処分に、控訴人主張のように無効原因が存するか否かについて判断する。

(い)  本件差押にかかる滞納国税のうち、昭和二二年一二月一日から翌二三年一一月三〇日までの事業年度分法人税について、被控訴人が更正による増差額につき納税告知をしただけで、その後審差決定により更正額の一部取消があつたにも拘らず、右取消後の残額について改めて納税告知をしていないことは、当事者間に争がない。しかしながら右のように更正により定められた税額の一部が、その後審査決定により取り消された場合においても、更正に基づく国税についてされた納税告知は、右審査決定による取消を受けなかつた部分についてその効力を保持し、従つて、右部分の微収をするにつき、改めて納税告知をすることを要しないと解するのが相当である。従つて審査決定によつて減額された税額につき、改めて納税告知がされなかつたことを以て違法とする控訴人の主張は、それ自体採用することはできない。

(ろ)  次に本件差押にかかる滞納国税につき督促がされていないとの控訴人の主張について考えるのに、原審及び当審証人小西よし子の証言中には、控訴人の主張に副う趣旨の部分があるけれども、これを後記各証拠と対比するときは採用するに足らず、他にこの主張を認めるに足りる証拠は存在しない。却つて、〈証拠省略〉によれば、次の事実を認めることができる。「本件差押にかかる滞納国税のうち昭和二二年一二月一日から翌二三年一一月三〇日までの事業年度分法人税については、京橋税務署の昭和二八年度法人税一人別徴収簿〈証拠省略〉には、確定更正増差額金九〇万七、一五〇円、追徴税金二二万六、七五〇円、加算税金三三万五五九〇円につき、その合計額である収納未済歳入額金一四六万九、四九〇円の記載箇所に督促手続をとつたことを示すものと推測される〈督〉のゴム印が押捺されており、督促月日欄には昭和二九年二月一八日のゴム印が押捺されているし、また〈証拠省略〉の法人税一人別微収簿における前記合計金額の記載箇所にも、同様〈督〉のゴム印が押捺されている。次に昭和二三年一二月一日から、翌二四年五月三一日までの事業年度分法人税については、前記昭和二八年度法人税一人別徴収簿〈証拠省略〉には、中間更正増差額金五〇万六、八七七円、追徴税金一二万六、五〇〇円、加算税金九万五、六九四円の合計額金七二万九、〇一一円の記載箇所に〈督〉のゴム印が押捺されており、督促月日として昭和二九年二月一八日のゴム印が押捺されているし、〈証拠省略〉の法人税一人別徴収簿における前記合計額の記載箇所にも、同様〈督〉のゴム印が押捺されている。次に昭和二六年一二月一日から翌二七年一一月三〇日までの事業年度分法人税については昭和二九年度法人税一人別収簿〈証拠省略〉には、確定更正増差額金一八万〇、五二〇円、加算税金九、〇〇〇円に関する記載の記事欄に昭和二九年五月二六日の記載があり、その右側欄外に〈督〉のゴム印が押捺されている。最後に昭和二四年一二月一日から翌二五年一一月三〇日までの源泉徴収所得税については、昭和二九年度源泉徴収簿〈証拠省略〉には、徴収決定済額金二万四、五二〇円、加算税金六、〇〇〇円に関る記載のうち、延滞加算税額欄に5/27始期昭和二九年六月八日なる記載がある。」(なお差押にかかる滞納国税のうち昭和二二年一二月一日から翌二三年一一月三〇日までの事業年度分源泉徴収所得税については、これが時効消滅していること後記のとおりであるので判断しない。)

以上認定の事実に、控訴人において本訴提起後も右督促手続の点を争うことなく、原審提出の昭和三八年一月二八日付準備書面において始めて右督促手続欠缺の主張をするに至つたこと(この点は記後上明らかである)等を併せ考え、さらに弁論の全趣旨を合せると前掲各滞納国税については、いずれも被控訴人によりその主張の頃所定の手続によつて適法に督促がなされているものと推認するのが相当である。なお前記滞納国税のうち昭和二二年一二月一日から翌二三年一一月三〇日までの事業年度分法人税については、確定更正増差額及び追徴税、加算税について督促がなされたのであるが、その後審査決定により更正額の一部取消があつたことは、前記認定のとおりであるけれども、前記(い)において納税告知につき判示したと同様、更正額についてなされた督促の効果は、審査決定による取消を受けなかつた部分についてその効力を保持するものと解すべきであるから、被控訴人が審査決定による更正額の一部取消の後、改めて右税額につき督促をしなかつたとしても、これを以て違法とすることはできない。以上に述べたところから明らかなとおり、この点に関する控訴人の主張はその理由がない。

(は)  次に差押調書における本件滞納国税の記載に誤謬があるとの控訴人の主張について判断する。

(a)  昭和二二年一二月一日から翌二三年一一月三〇日までの事業年度分法人税について、差押調書には加算税金三三万五、五九〇円追徴税金一九万五、二七五円との記載があるが、実際の滞納額が加算税金二七万三、〇六〇円、追徴税金一八万四、六七〇円であることは、当事者間に争がない。被控訴人は右事業年度分法人税については、法人税本税金七万三、一三五円の滞納があるから、同事業年度分法人税の滞納額総計に変りはない旨主張する。

しかしながら国税滞納処分における差押債権としての国税債権は、差押調書の記載によつて判断すべきであつて、法人税本税とその加算税、追徴税とは法律上別個の債権であるから、差押調書に記載されていない法人税本税を差押債権と解する余地はない。従つて仮りに被控訴人主張のような法人税本税の滞納があり、その結果前記事業年度分法人税滞納額の総計に変りがないこととなるとしても、右差押調書における滞納国税の記載に瑕疵がない瑕疵がないということはできない。

(b)  次に昭和二三年一二月一日から翌二四年一一月三〇日までの事業年度分法人税について、差押調書には本税五〇万六、八七七円、加算税金九万五、六三四円、追徴税金一二万六、五〇〇円との記載があることは当事者間に争がなく、控訴人が右事業年度分法人税本税につき、中間申告においてこれを金一三万四、九三三円、確定申告において金七四万三、九五二円とそれぞれ申告し、中間申告額及び確定申告増差額(但し右増差額は金六〇万九、〇一九円となるべきところ、控訴人は後記のとおり計算違いにより、金六〇万五、六四六円と申告し、かつ右金額を納付した。)として合計金七四万〇、五七九円を納付したこと、被控訴人が昭和二八年一二月三一日付中間更正により、中間申告による法人税本税額を金六四万一、八一〇円と更正し、その結果控訴人が中間更正増差額金五〇万六、八七七円、追徴税金一二万六、五〇〇円、加算税金九万五、六三四円を納付すべきものとしたこともまた、当事者間に争がない。そうして〈証拠省略〉によれば、被控訴人が前記中間更正と同じ昭和二八年一二月三一日付を以て、確定申告にかかる前記事業年度分法人税本税額を金九七万四、六一二円と確定更正し、その結果控訴人において右確定更正額から前記のとおり納付済の金七四万〇、五七九円を差し引いた金二三万四、〇三三円を本税として納付すべきこととなつた事実を認めることができる。従つて控訴人は同事業年度分法人税として、被控訴人主張のとおり本件差押当時本税未納額金二三万四、〇三三円及び追徴金一二万六、五〇〇円、加算税金九万五、六三四円合計金四五万六、一五七円の租税債務を負つていたこととなる。

もつとも右確定更正についての更正決定通知書〈証拠省略〉によれば、〈証拠省略〉の「所得金額等の更正決定」の欄のうち3「法人税額」の欄には、確定更正にかかる本税額金九七万四、六一二円の記載の上に赤字で「金五〇万三、五〇三円」なる記載があり、同じく4「納付の確定した当期分の基本税額」の欄には、控訴人の確定申告にかかる本税額「金七四万三、九五二円の記載の上に黒字で同じく「金五〇万三、五〇三円」の記載があるし、5の「差引法人税額」及び13の「更正決定により納付すべき税額」の欄には、それぞれ赤字を以て、「金二七万二、八四三円」と記載されていることが認められる。そうして〈証拠省略〉並びに弁論の全趣旨によれば、前記更正決定通知書の「法人税額」欄に赤字で、同じく「納期の確定した当期分の基本税額」に黒字で記載されている金五〇万三、五〇三円なる金額は、前記中間更正による本税の増差税額(金五〇万六、八七七円)を記載しようとしたのであるが、計算違いのため、金三、三七四円の誤差を生じたもの、また「差引法人税額」欄に赤字で記載されている金二七万二、八四三円なる金額は、控訴人の確定申告額金七四万三、九五二円及び中間更正増差額金五〇万三、五〇三円(計算違いがあることは前記のとおり)の合計額金一二四万七、四五五円から、確定更正額金九七万四、六一二円を差し引いた金額であつて、かつこれが負値となることを示すため赤字で記載したもの、「更正決定により納付すべき税額」欄に赤字で記載されている金二七万二、八四三円は、右差引法人税額に増減すべき他の科目がなかつたため、そのまま記載されたものと推測され、そうして京橋税務署の担当係員が更正決定通知書に右のような記載をしたのは、確定更正と同一日付でなされた中間更正にかかる増差税額は、それが納付済であるか否かに拘らず、既に納付の確定した税額として確定申告額と合算すべきであり、この場合もし右中間更正増差額が納付済であれば過納となるから、前記合計額と確定更正額との差額金二七万二、八四三円を差引法人税額欄に赤字で記載すべきものと考え、また一方中間更正増差額が未納であれば、これから右差額を減額処理すればよいとの考えに基づいたものと推測される。

しかしながら控訴人の前記事業年度分法人税本税についての中間申告額が金一三万四、九三三円であり、これに対する中間更正額が金六四万一、八一〇円であるところ、控訴人の確定申告額は右中間更正額を超える金七四万三、九五二円、これに対する確定更正額は金九七万四、六一二円であること前記のとおりなのであるから、確定更正と同日付で中間更正がなされたにしても、確定更正によつて定められた「法人税額」は確定更正額である金九七万四、六一二円であり、「納付の確定した当期分の基本税額」は、確定申告額である金七四万三、九五二円であると解すべきである。前記のような事実関係のもとにおいては、控訴人は中間申告及び確定申告により、それぞれ中間申告額及び確定申告増差額を納付すべき債務を負担することとなるのであるが、この場合その後中間申告に対して更正がなされたとしても、前記のように確定申告額が中間更正額を上廻る額である以上、確定申告額のほかにさらに中間更正増差額を納付すべき債務を負担するものでないことは明らかであつて、確定申告額と中間更正額との合算額が「納付の確定した当期分の基本税額」となるものと解することはできない。従つて前記確定更正通知書の「法人税額」及び「納付の確定した当期分の基本税額」欄に中間更正増差額を書き加えたのは、誤謬であるというほかなく、「差引法人税額」及び「更正決定により納付すべき税額」欄には、前記確定更正額と確定申告額との差額である金二三万〇、六六〇円と記載すべきであつた。それにも拘らず前記のように誤つて記載し、かつ中間更正が確定更正と同日付でなされた以上、確定更正当時に中間更正増差額が納付されている筈はないのに、あたかも納付済であるかのような記載となつたため、その内容が直ちには理解し難く、一見しただけではあたかも控訴人主張のように金二七万二、八四三円が過誤納金として還付されるとの趣旨に誤解される虞が生じたのである。

しかしながら他に余分な記載はあるけれども、確定更正通知書〈証拠省略〉の「法人税額」欄及び「納付の確定した当期分の基本税額」欄には、それぞれ正しい金額の記載があることでもあるし、控訴人としては自己のした中間申告及び確定申告における課税標準、法人税額と、中間更正通知書〈証拠省略〉及び確定更正通知書〈証拠省略〉におけるそれ、ことに確定更正通知書の課税標準とを比較検討してみれば、正しい確定更正額を容易に知り得た筈であり、自己の納付済金額と対照して見れば、過誤納金としての還付金などあり得ない筈であることが、容易に看取し得たものと考えられる。従つて確定更正通知書の記載に前記のような程度の誤謬があるからといつて、被控訴人主張のような内容の確定更正が不存在であるとか、あるいは無効であるとまでいうことはできない。

なお原審及び当審証人小西よし子の証言中には、控訴人が昭和二九年一月被控訴人から前記中間更正及び確定更正の各通知書の送付を受けた後、その内容を直ちに理解することができなかつたため、当時の代表者小西孝信及び同人の妻小西よし子が東京国税局協議団本部を訪れ、知人の紹介により当時協議団本部に勤務していた細谷礼光に相談したのであるが、その際同人から前記事業年度分法人税については改めて納付すべき分はなく、確定更正通知書に赤字で記載されている金二七万二、八四三円が還付される旨の説明を受けたとの趣旨の部分がある。そうして原審及び当審証人細谷礼光のこの点に関する証言は、明確さを欠き前役一貫しておらず、あるいは同人がそのような説明をしたのかも知れないとの疑を抱かせる。しかしながらこれらのみでは、未だそのような事実を肯認するには不十分であるのみならず、前述したように中間更正及び確定更正通知書をよく検討すれば、更正決定の内容を理解することが困難ではなかつた筈であること、及び前記小西証人の証言により、同人らが東京国税局協議団本部を訪れる以前に所轄の京橋税務署を訪れ、係員から控訴人側の見解が誤つているとの説明を受けた事実が認められること等を併せ考えると、仮りに前記のような誤つた説明の事実があつたとしても、未だ確定更正の効力を左右するようなものとは考えられない。

また控訴人は中間更正によつて納付すべきものと定められた金額があつても、確定更正により過誤納金として還付すべき金額があるとされた場合においては、結局右事業年度において納付すべき金額はなくなると解すべき旨主張する。しかしながら前記確定更正が過誤納金としての還付金が存在するとの趣旨でないことは前記認定のとおりであつて、この点で既に控訴人の主張はその前提を欠くのみならず、確定申告の対象となる期間中に中間申告の対象となる期間が含まれるからといつて、中間更正が確定更正とは別個の処分であることが否定される訳ではなく、中間更正が確定更正によつて当然無効とするとか、あるかはこれに吸収されるということもできない。もちろん確定更正にかかる税額が中間更正額を下廻つた場合においては、その限度で中間更正による納税義務は影響を受けるけれども、その他の点においては中間更正はその効力を保持するものと解すべきであり、本件においては中間更正により納付すべきものと定められた前記追徴税、加算税等は、確定更正によりなんら影響を受けないというべきである。

以上に述べたとおりであるから、控訴人の昭和二三年一二月一日から翌二四年一一月三〇日までの事業年度分法人税の滞納額は、被控訴人主張のとおりと認めるのが相当であつて、〈証拠省略〉は採用せず、他にこの認定を左右するような証拠は存在しない。

(c)  昭和二六年一二月一日から翌二七年一一月三〇目までの事業年度分法人税として、差押調書に本税金一四万九、〇三〇円、加算税金九、〇〇〇円の記載があり、実際にも右税額の滞納があつたことは、当事者間に争がない。

(d)  昭和二二年一二月一日から翌二三年一一月三〇日までの事業年度分源泉徴収所得税として、差押調書に本税金一万六、〇九九円、加算税金四、〇〇〇円の記載があること、右滞納税額が昭和二九年三月四日通知された課税決定に基くものであつて、右決定当時既に消滅時効が完成していたことは、当事者間に争がない。

(e)  昭和二四年一二月一日から翌二五年一一月三〇日までの事業年度分源泉徴収所得税について、差押調書に本税金二万四、五二〇円、加算税金六、〇〇〇円の記載があり、実際にも右税額の滞納があつたことは、当事者間に争がない。

そうして、以上認定の事実によつて考えるのに差押調書における滞納国税の記載に一部誤謬が存在することは右認定から明らかでもあるけれども、当裁判所もまた右瑕疵は本件差押処分を無効とするには足らないと解する。その理由は原判決のそれと同一であるから、原判決理由欄の記載中の当該部分(原判決書原本二九枚目表五行目から三〇枚目表八行目まで)をここに引用する。

(に)  次に本件差押当時過誤納金として還付されるべき金額が存在したとの控訴人の主張について判断する。仮りに控訴人主張のような過誤納金が存在すると仮定しても、控訴人の主張自体によつても右過誤納金が本件差押にかかる滞納国税に充当されたものとは認められない。のみならず控訴人主張の過誤納金のうち、昭和二三年一二月一日から翌二四年一一月三〇日までの事業年度分法人税については、過誤納金として還付されるべき金額が存在しないことは、前記(は)(b)において判示したとおりである。

そうして昭和二四年一二月一日から翌二五年一一月三〇日までの事業年度分法人税について合計金二一万八、三三〇円、同二五年一二月一日から翌二六年一一月三〇日までの事業年度分法人税について金三万五、六三〇円のそれぞれ過誤税金があつたことは当事者間に争がない。そうして被控訴人は、右各過誤納金は昭和二二年一二月一日から翌二三年一一月三〇日までの事業年度分法人税本税滞納額に充当した旨主張し、なお右充当については充当の意思表示ないし通知を必要としない旨主張する。しかしながら過誤納金の未納国税への充当とは、国税債権を以て過誤納により生じた還付請求権をその対当額において消滅させる行為なのであるから、その性質は民法上の相殺にも比すべきものである。従つて税務署長の一方的な充当によつてその効果が生じ、充当の通知をすることは必要でないとする被控訴人の主張は採用できない。旧国税徴収法には充当の通知をなすべき旨の規定がなく、その役制定された国税徴収法(昭和三四年四月二〇日法律第一四七号)第一六二条に始めてその旨の規定が設けられたとしても(現行法においては国税通則法(昭和三七年四月二日法律第六六号)第五七条第三項にその旨の規定がある)、右解釈に影響を及ぼすものではない。

しかしながら〈証拠省略〉によれば、昭和二九年二月二七日に被控訴人主張のように充当の通知がなされているものと推認できる。原審及び当審証人小西よし子の証言中右認定に反する部分は採用せず、他にこの認定に反する証拠は存在しない。結局いずれにしても控訴人の主張は採用に値しない。

三、以上に述べたところから明らかなとおり、本件差押処分には控訴人主張のような無効原因は存在しないから、控訴人の本訴請求はその理由がなく失当として棄却を免れない。よつてこれと同旨の原判決を相当として本件控訴を棄却すべきものとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判官 高井常太郎 満田文彦 藤田耕三)

別紙〈省略〉

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